ポリファーマシー2017/08/08 23:45

http://www.jiho.co.jp/Portals/0/ec/product/ebooks/mag/cho/cho1701/cho1701.pdf

なかなか難しい定義ではあるが、じつは最近たてつづけにこの多剤処方を受けている患者さんを引き受けることになって、いかに薬の交通整理をするかに苦慮している。

在宅医というのは医療のなかではたぶん患者さんにとっていちばん最後になる医者であって、つまり在宅医のところにはそれまで受診していた複数の医療機関からの情報や処方がすべて集約されてくる。

複数の医療機関から処方されている薬をわたしのところで一括すると、なんということでしょう、どんだけ飲んでるのということが少なくない。かかりつけ薬局のようなところがあればここまでにはならないだろうが、たいていは医療機関の門前の薬局で処方され、しかも「おくすり手帳」の利用も低迷している。

重複した処方もあったりして、診療の初期にはその整理も大きな仕事になる。

ところで、たった一カ所から転医してこられたのに、目を剥くようなポリファーマシーに遭遇することがある。患者さんとのラポール(*1)が成り立つ前に処方整理することは難しいので、わたしの場合は1年くらいかけるつもりで減薬する努力をする。しかし、その間に保険診療では処方を査定されたりすることも少なくない。

じつは、世間では「どこどこの医院はいっぱい薬を出す」とか「検査ばかりする」とか、われわれが思っている以上に噂は広まっている。だったらそういうところに行かなければいいのにと思うのだが、患者さんの側にも「薬信仰」も残っているのだね。

ともかくポリファーマシーの患者さんに最初に確認するのは、ほんとに毎日きっちりすべての薬を服用しているのかということである。意外にも(わたしにはやっぱりと思うが)与えられた薬をきっちり服用していない患者さんが多いのだ。

厚生労働省が処方の査定に血道を上げる原因の一端はわれわれ現場の医療機関にもあると、わたしはじつに思っている。

(*1)ラポール: https://kotobank.jp/word/%E3%83%A9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB-147716

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