ひとごと2017/10/13 22:00

いつのころからか、在宅医療を早くからしていたり、介護保険制度が発足前に制度を批判していたりしたので、わたしのような雑魚に講演を依頼されることが増えた。もっとも、川西近辺ローカルなマイナーな講演ばかりだったが。

それを続けていてふと気づいたのである。

ほとんどみんなひとごとのことと思って聴いてるな。

で、しゃべるのにしらけてしまった。

だから最近は依頼はお断りしている。だって砂に水を撒くために時間をかけて用意するのは時間の無駄だと思うから。

いっぽうで、ひとごとでなくいざ自分のこととして降りかかってくると、わたしの時間も場所も構わず「医者なら相談に乗ってくれるのがあたりまえ」のような人も出てくる。それはあたかもクリエーターにタダで作品を提供しろと言うようなものである。プロを舐めてはいけない。これはエラソーにしているのではなく、プロはプロなりの責任を持っているからいいかげんなことはできないという矜持があるからだ。「自称インテリの評論家(by橋下徹さん)」のような無責任なコメントはできない。

総選挙になって、候補者のみなさんはいろいろ主張されているが、みんなはたいていひとごとと思って聴いているにちがいない。候補者さんが純粋に「〜の未来の危機」などと訴えても、たいていは自分にはかんけーないと思っているんじゃないか。かく言うわたしも「経済の危うさ」と言われてもひとごとみたいだ。企業経営しているわけでもなく、それが自分にどう関係するのかとスルーしてしまう。

患家に「つぎに起きる恐れのある状況」を説明してそのためにどうすればいいかと提言しても、けっこう差し迫っているのに受け入れていただけない。で、心配していたとおりになって「おっしゃってたことがよく分かりました」と言って困られても、用意できていなくてたいへんな目に遭うのはあなたがた。まあ、わたしはべつにいいのだ。

だから、わたしが「〜の心配があるのでこうしておいたほうがいいと思う」と言ったときは、本気に考えていただきたいのであったりする。