いまどきの医療2006/03/02 22:52

 在宅療養支援の優遇の裏と表の関係になりますが、いまどきの入院医療の環境もなかなかのものです。

 いわゆるアメニティは、このご時勢、いまふうにデザインされて、病院とは思えぬこじゃれたインテリアやファニチャーなんかが並んでいますが、なぁに、見栄えを繕っても中身はどう考えても病院。医療職という人的資源はどう転んでも合理化できるものではなく、規制にがんじがらめになっていて、他の企業のように人件費の削減が簡単にできるものではありません。したがって、数を揃えたまま人件費を減らそうとすれば、できるだけ安い人材を使うしかないわけで、若い人材、安くても働く人を雇うことになります。外国人医療者の導入もおそらく間近。

 いっぽうで、サービス業としての医療機関に対する世間の要求はどんどん高くなり、つねに神経の張り詰めた状態で仕事を続けていかなくてはなりません。

 初心者や能力の劣る人も数のうちというようなことになりますと、できる人へ負担が増え、その人らが燃え尽きてしまって去っていく、そのような悪循環に陥る危険性も少なくないはず。

 けっきょく、患者さんは余裕のない状況での医療を受けるリスクがあり、医療者は低賃金で心身ともに負担の大きい勤務を強いられ、経営者は資金繰りと人材確保に眠れぬ夜を過ごすという、直接関係しているみんながマイナスになる状態が続いているのです。

 高見の見物で批判だけしていて商売になるマスコミ、医療機関が儲けられなくなった分の多くをもっていく各種メーカー関係、医療費削減といいつつ反対側で官製談合や無駄遣いで税金を垂れ流ししている官僚組織、そういうところのさらに上前をはねているらしい幻の/闇のなにかなど、一般市民はもっと怒らなくてはならないのではないでしょうか。

 還暦近くでめでたくもない誕生日の宵に、おぢさんはじつにそう思ったのでありました。