医療事故2006/03/12 20:27

 福島県の県立大野病院で起きた帝王切開手術中の死亡事故で主治医が逮捕されたということで大きな議論がわき起こっています。

http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1769286/detail http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060310i313.htm?from=main3

 医療過誤と医療事故は違います。交通事故でいえば、医療過誤は酒酔い運転での事故で、医療事故はふつうの交通事故といえましょう。ふつうの交通事故では、重大な過失がないのに逮捕されることはまずありません。重大な過失かどうかはその後の調べで疑われることで、まず逮捕してしまうというやりかたは、私も同業者として疑問を持ちます。警察は「口裏合わせの恐れ」などといってますが、カルテの押収などの客観的証拠を固めれば証明できることであると思われます。

 産科は民事裁判になることも多く、そういうリスクもあって小児科とともになり手がどんどん減ってきていて、全国的に病院の産科が閉鎖される傾向にあります。産科の診療所はもうかなり前から激減しています。私の診療所のある市立病院でも最近産科は閉鎖されました。

 今回のようなことがありますと、また産科を目指す医者は減るでしょう。ずさんな医療はしてはならないのは当然ですが、まじめにやっていて結果がたまたま残念なことになったからといって、いちいち逮捕されていてはやっていられないというのが本音でしょう。

 それに医者の逮捕は多くの患者さんにたいへん迷惑をかれることになります。今回も逮捕された医者の勤務先の産科は休止されてしまつたようです。先日の釧路だったかの殺人容疑で逮捕された眼科医などのような場合はやむを得ませんが、今回のような場合、産科休止によって新たな事故が起きたら、いったい誰が責任をもつというのでしょうか。

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