現場の事情、慣れによる危険2007/04/12 14:34

 山小屋作業にあたっていたヘリコプターが墜落してお二人が亡くなられた悲惨な事故があり、今日はそのヘリの運行会社
http://www.akagi-heli.co.jp/が捜査を受けているという報道がありました。この会社のヘリはこれまでも何度か事故を起こしており、報道だけをみますと杜撰な会社のように思えてしまいます。

 ほんらいなら座席に座ってシートベルトをすべきなのに、機長の判断で3人分のシートを外して乗客が床に座っていたために、シートベルトをしていた人たちに比べて被害が大きくなった疑いがあるという。

 この報道で、私は先月末に乗船した宮古島・伊良部島間のフェリーボート
http://www4.ocn.ne.jp/~feri/のことを思い出しました。当日のブログ
http://wando.asablo.jp/blog/2007/03/30/でもすこし触れていますが、このフェリーがヌルいヌルい。運賃の徴収だけでなく、車が乗下船するときの誘導や乗客への案内、操船など、いろいろな点でヌルい。それはそれで日常的な「これでいいのだ」という雰囲気があって、その場で私はとくに目くじらたてるほどではないなと思ったのですが「これで何か事故があったら杜撰な運行と批判されるのやろね」とパートナーと話していたものです。

 事故を起こしたヘリが座席を外していたのは、私の勝手な推測ですが、冬に閉鎖していた山小屋を開くにあたって多くの器材や荷物を運ぶ必要があって荷物のためのスペースを作っていた、そしてそれは今回の水晶小屋
http://www.3-mt.net/suisyo-zyoho/suisyo-zouho.htmlだけでなく日本アルプスの多くの山小屋で同じ状況があるためだったのではないか、事故の日はたまたま乗客が多かったのでそのまま乗せたのではないか、と思うのです。

 アルプス方面で飛んでいるヘリは、今回の会社のヘリだけではなく、他の業者もみんな同じようなことをしているのではないか。3000メートルの山の上でも都会と同じように飲み食いしたいという客のニーズがどんどんエスカレートして、けっきょくこういうことが必要悪として続いてきたのではないか。昔は山麓から何十キロもの荷物を担いで登っていたけれど、いまやそれでは時代に合わないのではないか。

 私は登山をしませんので間違っているかもしれませんが、そういうふうに感じてしまいました。

 現場には現場の事情があることは、我々の医療の世界でも同じです。しかし、現場の慣れによる危険はきっとあるのだということを、他山の石としなければなりますまい。