医療不信は根が深い2013/02/12 21:44

初対面のかたのお話をじっくり伺う機会を得た。

彼は私からみるとそんなに無理なことは望んでおられない。しかし彼は落胆し続けていまにいたったようだ。医者のパターナリズムが批判されて久しい。インフォームドコンセントという言葉はもうあたりまえすぎて(ほんとか)口にされなくなった。西洋医学は代替医療を批判するが、患者さんにとってはその選択も重要なものだ。医療者は医療の主役ではなく、あくまでサポート役だと私は思うのだが、そう言うと彼はそんな話は初めて聞いたとおっしゃったのだ。

業界の用語と感覚で接していては齟齬を生じるのはあたりまえだ。自分が、あるいは家族が病人になって患者さんの気持ちが分かったというのは、それでも分からなかった医療者よりはましだけど想像力がなさすぎる。

なんだか抽象的な話だが許されたい。私は今日、医者になって40年あまりで初めての貴重な経験をした。じつはとても気疲れして消耗したのだが、それにも余る貴重なものを得た。疲れたがいまある意味いい気分で酒を飲んでいる。

今夜の私はそんなことを考えた。

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