医療の最下流2017/01/27 22:15

在宅医療を主に仕事をするということは、医療の最下流にいるということだ。これはひがみではなく、高齢の身体不自由なかたの在宅対応であっても、癌などの末期の対応であっても、あるいは神経筋難病のかたの場合でも、初期の診断や治療からその後いくつもの医療機関を経て最終的に在宅医の出番になることが多い。

誤解のないように念のためだが、わたしはその仕事が嫌なのではない。好きでなければ30年近くも在宅医療を続けていない。

しかし、一番やりにくいことは、多くの患者さんがたくさんの薬を飲んで在宅医のところにこられ、しかも少なくないかたが薬に依存するようになっておられることである。

いちど処方された薬を中止するのはとても難しい。そのうち診療報酬の審査で査定されたりする。
「〜にこの処方はいかがなものでしょうか」
などと指摘される。
「わたしやないがな」
との言い訳は許されない。最下流を痛感するときだ。

もっとも、薬を整理するといったら喜んでくださる患者さんも少なくない。
「減らしてほしかったけどいままではよういわんかった」
ということもけっこうあるのである。