台風21号から思う備忘 ― 2018/09/04 22:43
じつに予報どおりに走り抜けた台風だった。だれかが遠隔操作しているのではないかと思ってしまうほど、四国沖から室戸岬をかすめて大阪湾に入り若狭湾に抜けるコースは予想のとおりだった。
大きな台風として記憶に残るのはふたつだ。1959年の伊勢湾台風のときは小学4年生で八尾市にいた。1961年の第二室戸台風は小学6年生、5年生のときに転校して大阪市阿倍野区が住まいだった。
伊勢湾台風は夜間に最接近したので、長い時間の停電のあいだ茶の間の食卓に置いた大きな蝋燭を家族5人が囲んで過ごした記憶が残る。第二室戸台風は昼間に阪神間に上陸したから、昼間なのに雨戸をしっかりと閉めて息を潜めていたのを覚えている。男3人兄弟だったので、父が建てた鯉のぼりの竿が倒れて悲しかった。
おそらく弟たちはあまりそれらの記憶はないと思う。つまり関西で巨大台風の語り部になりそうな最後の世代であるわたしたちももう70歳になるのである。だから第二室戸台風みたいと思ったとき、じつはかなり緊張していたのだ。わたしより若いかたは第二室戸といわれてもピンとこなかったのではないか。
伊勢湾台風では高潮被害で名古屋で大きな人的被害を出したので有名だ。第二室戸台風でも高潮で大阪市のかなりの面積が冠水した。地下水汲み上げで地盤沈下していたことも原因のひとつだが、それがきっかけで大阪市の高潮対策が整備された。
だから今回の台風が第二室戸台風のときより潮位が高くても激甚被害にはならなかったのだと思う。関西国際空港が冠水したり大阪港でコンテナが流出する被害はあったが、人的被害がほとんどなかったのは幸いだった。
これだけの強い台風なのに人的被害が少なかったのは、やはりこの国の災害に対する対応が格段によくなっているからではないか。地震や津波と違ってあるていど予測できる災害に対する対応は半世紀前とは比較にならないほどよくなっていると感じるのである。
それでも突発的な大雨や想定外の災害についてはまだまだ減災の余地があると思われる。ちょうど7年前の9月3日から4日にかけての平成12年紀伊半島大水害は、想定外の大災害への対応を見直すきっかけになったと言えるかもしれない。
その紀伊半島大水害に関する日記をあらためてリストアップしておきたい。
http://wando.asablo.jp/blog/2011/09/04/6087981
http://wando.asablo.jp/blog/2011/09/05/6088915
http://wando.asablo.jp/blog/2011/09/05/6089656
http://wando.asablo.jp/blog/2011/09/07/6091478
http://wando.asablo.jp/blog/2011/09/14/6103309
近づいて急に加速して駆け抜けていった21号の影響がほとんどなくなった静かな夜、関西国際空港の大きな被害をはじめとして交通機関の停止、停電やネット回線の不通、あちこちでハードウエアの損傷などがあるものの、人的被害が最少ですんでよかったと伊勢湾台風世代のロートルは胸をなでおろしているのだった。
大きな台風として記憶に残るのはふたつだ。1959年の伊勢湾台風のときは小学4年生で八尾市にいた。1961年の第二室戸台風は小学6年生、5年生のときに転校して大阪市阿倍野区が住まいだった。
伊勢湾台風は夜間に最接近したので、長い時間の停電のあいだ茶の間の食卓に置いた大きな蝋燭を家族5人が囲んで過ごした記憶が残る。第二室戸台風は昼間に阪神間に上陸したから、昼間なのに雨戸をしっかりと閉めて息を潜めていたのを覚えている。男3人兄弟だったので、父が建てた鯉のぼりの竿が倒れて悲しかった。
おそらく弟たちはあまりそれらの記憶はないと思う。つまり関西で巨大台風の語り部になりそうな最後の世代であるわたしたちももう70歳になるのである。だから第二室戸台風みたいと思ったとき、じつはかなり緊張していたのだ。わたしより若いかたは第二室戸といわれてもピンとこなかったのではないか。
伊勢湾台風では高潮被害で名古屋で大きな人的被害を出したので有名だ。第二室戸台風でも高潮で大阪市のかなりの面積が冠水した。地下水汲み上げで地盤沈下していたことも原因のひとつだが、それがきっかけで大阪市の高潮対策が整備された。
だから今回の台風が第二室戸台風のときより潮位が高くても激甚被害にはならなかったのだと思う。関西国際空港が冠水したり大阪港でコンテナが流出する被害はあったが、人的被害がほとんどなかったのは幸いだった。
これだけの強い台風なのに人的被害が少なかったのは、やはりこの国の災害に対する対応が格段によくなっているからではないか。地震や津波と違ってあるていど予測できる災害に対する対応は半世紀前とは比較にならないほどよくなっていると感じるのである。
それでも突発的な大雨や想定外の災害についてはまだまだ減災の余地があると思われる。ちょうど7年前の9月3日から4日にかけての平成12年紀伊半島大水害は、想定外の大災害への対応を見直すきっかけになったと言えるかもしれない。
その紀伊半島大水害に関する日記をあらためてリストアップしておきたい。
http://wando.asablo.jp/blog/2011/09/04/6087981
http://wando.asablo.jp/blog/2011/09/05/6088915
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http://wando.asablo.jp/blog/2011/09/14/6103309
近づいて急に加速して駆け抜けていった21号の影響がほとんどなくなった静かな夜、関西国際空港の大きな被害をはじめとして交通機関の停止、停電やネット回線の不通、あちこちでハードウエアの損傷などがあるものの、人的被害が最少ですんでよかったと伊勢湾台風世代のロートルは胸をなでおろしているのだった。