順序が違う(なんでも薬というな)2014/12/24 22:34

在宅療養の患者さんでしばしば見られるのが排便障害(便秘)と皮膚トラブルである。

腸の動きは、身体の動きや食物の摂取が刺激になっておきるので、寝たきりに近いかたはどうしても便秘になる。訪問看護師さんの仕事では排便管理が大きなウエイトをしめる。摘便なども珍しくなく、それはそれは私からみて頭が下がる。処方として便を軟らかくするためのマグネシウム製剤や、腸の動きを刺激するセンノサイド製剤などを調整するのは医者の仕事だ。

それはそれで看護処置と処方で調整するのが正しいと思う。

問題は皮膚トラブルだ。

皮膚がただれている、水虫かもしれない、乾燥してカサカサになっている、だから塗り薬を処方してくださいと、介護職どころか看護職のかたからもいとも簡単にリクエストされる。

それは順序が違うんとちゃうか。

皮膚は、まず清潔、保清をしたうえで、それでも難しければ外用薬だろう。簡単にアズノールやリンデロンの軟膏を出してくれと言うのはどうなのかね。

フローレンス・ナイチンゲール『看護覚え書き』の第11にも『からだの清潔』がある。

" 病人の身体を不潔なままに放置したり、あるいは病人に汗やその他の排泄物が浸み込んだ衣類を着せたままにしておくことは、健康をもたらす自然の過程を妨げて患者に害を与えることになる "

介護の施設でもそれは励行すべきだとして、お国も規定しておられる。

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指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準
(平成十一年三月三十一日厚生省令第三十九号)
第十三条  介護は、入所者の自立の支援及び日常生活の充実に資するよう、入所者の心身の状況に応じて、適切な技術をもって行われなければならない。
2  指定介護老人福祉施設は、一週間に二回以上、適切な方法により、入所者を入浴させ、又は清しきしなければならない。
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これはとりあえず介護施設のなかではいちばん厳密に規定されている(はず)の介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に関する政令である。週に2回は入浴か清拭しなさいと言っている。介護老人保健施設や民間の有料老人ホームでもそれが準用されている。そして、在宅のケアプランでも、いつのまにかこの週2回の入浴が標準になってしまっている。

しかし、政令は「一週間に二回以上」としているのである。もっとも、経営・運営するほうは、週2回"だけ"していればいいと考えるのが普通だろう。

私は入浴はぜったい毎日だ。夏場などは一日に4回くらいシャワー浴することもある。65年生きてきたうち唯一4日ほど入院したときも、個室で設備があったので絶食持続点滴のままシャワーを浴びたほどだ。

週2回の入浴でいいのか? 私は我慢できん。

で、保清しないままで汚い皮膚に塗り薬を厚塗りしてどうする。

まず清潔でしょう。足趾間に水虫らしきものが見られたら、せめて毎日足浴しようよ。それが基本だろう。

なんでもかんでも『薬』というのは、違うんではないかねえ。