相談しやすいと思われるのは嬉しいが2016/08/02 22:32

見かけは怪しい危ない人のようで、先日は浴衣に角帯だとどちらでも「プロ」のように診られた私だが、どうもいろいろと話しかけたり相談しやすいと思われているようで、それはそれで臨床医としては嬉しいわけだが、でも「そんなことをプロである医者から答えを得られると思ってもらっては困る」という相談が少なくない。

いま現にどこかの医療機関で診療を受けていて、その説明や方針に疑問だからといって「どうでしょうか? 」と聞かれても返答に困る。こちらには当事者である患者さんの話以外にな〜んの情報もないのである。床屋政談、居酒屋雑談ならともかく、すくなくとも専門家の端くれに答えを求めるのは間違っている。

それに疑問を感じないかたがいるから、三流週刊誌が「薬は飲むな」特集をやってよく売れて薬をやめて体調を崩したり、極端な話で自著を売ろうとする変な同業者の被害にあったり、ワクチンは製薬会社の陰謀という話を信じて自分の子どもを辛い目に合わせたり、そもそもわけの分からない民間療法の餌食になるし、それで最悪は命を落としたりするわけだ。

自分が診察を受けているなら、疑問は直接診察している医者にぶつけなければならない。聞きにくいとか聞いたら機嫌が悪くなるなどでそれができないなら医者を代えましょ。そんなのに命を預けて、なにも分からない私に意見を求めるのはひどく間違いなのだ。