被災地の医療や介護2011/10/23 22:39

東日本大震災では、福島県浜通の放射線がらみの地域は別としても、大きな病院や地域の医療機関の多くが被災して機能を失ったという。津波で市街地、集落が全滅して、そのなかにあった医療機関も失われたのだから当然だった。

いっぽう、同じく大きな被害が出た紀伊半島では、病院が機能しなくなった、診療所が潰れたという話はほとんど聞かない。介護施設が全滅したということもないようだ。

和歌山県や奈良県南部は、そもそも医療機関や介護サービスは乏しい地域なのである。もともとよくないのである。これ以上悪くなりようがなかった地域だった。和歌山県では、そういうサービスはほぼすべて海岸沿いにある。三陸でもそうだったはずだ。海からの被害か山からの被害かで、こと医療や介護に関しては大きな差ができた。

和歌山県は県庁所在地が極端に北の端にある。歴史のある県立医大も和歌山市にある。県の南部の中心都市が田辺市で、この市は平成の大合併で巨大な市になって紀伊半島の中心部まで市域になっている。

その田辺市の市役所が津波が襲来すればひとたまりもない立地だというのは悪い冗談でもあるが、しかしその市街地近辺には公的な基幹病院が2カ所あり、それぞれ専門領域の機能分担ができているようだ。防災ヘリコプターの導入は早かったし、ドクターカーの活躍も多い。

私は個人的には、和歌山県の医療の状況はそれほど悪くはないのではないか、あるいは、過疎県のひとつのモデルケースになるのではないかと思っている。

もっとも、私は紀南で生活するようになつてまだ3年、もちろんこちらでは医療活動はしていないわけなので、実情を把握できていないかもしれない。しかし、いまのところ、ここの地域で余生を過ごすと決めたことに、少なくとも医療環境について後悔はしていないのである。