医療の皮を被ったぼったくり2012/06/03 20:59

いろいろ差し障りがあるので具体的なことは書けないが、いやはやすごいものを見せていただいた。まさに「医療」という皮を被った「ぼったくり」だ。

多くの病院や診療所と同じように私のところのような診療所では、私は保険医であり、診療所は保険医療機関であって、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」という政令で厳しく規制されているうえ、診療の結果はレセプトの査定という関門でチェックされる。したがって、あまり無茶なことをすると、査定で切られるだけでなく、指導や監査というペナルティがある。

しかし、自由診療をする医療機関はこの政令の規制を受けない。しかも検査や処方も患者さんから自由な金額で支払いを受けるだけで、つまり「やりすぎて損をする」ということがない。

見せていただいたのは、通常の血液検査に加えて、ありとあらゆる腫瘍マーカーの検査結果。おそらく血液検査だけでなく、画像系の検査もたっぷりされたと思われる。

しかし、その結果は、ご本人をよく知る私からみると、当然のことながらほとんど異常がない。まあよくお酒を飲まれるので、私と同じく肝機能に多少の異常値がみられるていど。

ところが、ここからがさらに仰天したのだが、とくにちゃんとした説明もなく、10種類以上の投薬がされているのだ。そのほとんどがビタミン剤系。あとは利胆剤(肝機能が多少悪いから?)、降圧剤(最初に計ったときに180くらいあったというのだが、ふだんはずっと130ていど)、骨粗鬆症に使うビタミンD剤、これには思わず笑った。なにしろ、どついても骨なんか折れるかいという偉丈夫の、私より若い男性なのである。

ため息が出たね。

それでも、この偉丈夫は「なんか悪いのやろか」と不安になって私に相談したわけで、これは犯罪的とさえいえるのではないか。

じつはこのかたはさらなる「ある治療」を勧められているというのだが、しかも数十万円もするというその治療、「やめときやめとき」と進言したのは言うまでもない。

それでも「ワラをも掴む」思いでこういう医者に頼っていく人たちがいて、同業者がこんなことをしていると思うと、じつに腹立たしいのである。

ぼったくりバーと変わらんやんか。

コメント

_ hiro ― 2012/06/06 00:24

ほんまに、びっくりする、嘘みたいな話しですね。

大事な話しを書いて頂きありがとうございます。

_ wando ― 2012/06/06 18:43

どこの業界でもでしょうけど、違法じゃないけど品ないなあという人はいはります。

いま話題の生活保護も一部の医療者の餌食になってますし。

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