喫煙シーンのこと2013/08/24 23:47

私はかつてヘビースモーカーであって、40歳の誕生日をもって禁煙し、以後いっさいタバコと縁を切った者である。

職業柄、クライアントには禁煙を勧め続けているわけだが、もともとの非喫煙医師より、私のような中途禁煙医師のほうが指導は厳しいと思う。なにしろ「やめられる」ことを実践した強みがある。

いっぽう、私はこの職業としてはやや無責任かもしれないが、最終的には早死したりつらい病気になる恐れがあっても生活習慣が変えられない人には、情報提供と初歩的な助言しかしないことにしている。賢明な人は、それだけで自己決定されるし、そうでないかたは手を変え品を変えて指導しても無理だというのは、医者を40年もやってきていれば身に染みて分かっている。言っても無駄な人に言うのは、まさに無駄だから、しないことにしている。勝手にしてください、と。

で。

映画やテレビでの喫煙シーンがいま話題になっている。評判になってるアニメ映画に喫煙シーンが頻繁に出てくるので、某禁煙推進NPOが抗議したということからだ。

私は、映像が未成年の喫煙などに影響するという世界的なデータに反論するだけのEBMは持っていないが、しかし自身の禁煙意志の経緯や診療現場での経験からして、それはなんだか「我田引水」的な空気を感じてしまうのだ。

というようなことを「ひそかに」(笑)考えていた。今夜、NHKで4回もののドラマ「夫婦善哉」があって、まあ大阪ネイティブ人としては織田作之助さんの名作のドラマは見逃せないと思って、すこし涼しくなった白浜の家飲みしながら見たのである。

http://www9.nhk.or.jp/dramatopics-blog/6000/152260.html

始まってすぐ、思わず泡盛「菊の露」のロックを噴き出しそうになった。主役の一人、老舗のボンの柳吉がバカバカとタバコを吸うシーン。私は上記のような理由で映像での喫煙にはそれほど厳しい気持ちはないのだが、このドラマでは実写ということもあってなんだか「煙たい」(笑)。

「風立ちぬ」に激しいツッコミをしたNPOは、だれでも週末のテレビで見られる名作をドラマ化したNHKには直ちに抗議しなければならないのではありませんでしょうかね。

しかしなあ、そんなことをしていたら当該NPOには「メディア対応喫煙シーン監視部署」が必要になるでしょうね。前身の団体からある時期離脱して当該NPOには参加しなかった私の判断は正しかったかな。こんな日記書いたら除名されそうだもんなあ。

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