高齢者の集合住宅2014/06/17 21:04

政府の在宅医療指向政策とサービス付き高齢者専用賃貸住宅への優遇策のためにその種の集合住宅が雨後のタケノコ状態である。

そこにもってきて、この4月の診療報酬改定で集合住宅への在宅医療の報酬が激しく締め付けられたために、全国でいろいろな問題が起きている。

長らく高齢者施設の医療にも関わってきた者としては、なぜみなさん都市部の(元の住居に近い)施設にこだわるのかというのがじつに疑問だ。施設に入居してしまうと、たとえ元の住居の近隣であってもそれまでの環境は全く変わってしまうし、さらに介護度が上がると施設内だけで過ごす時間がほとんどになる。その施設がどこにあるかはほとんど関係なくなっている。

家族の面会の来やすさということがあると思えるだろうが、距離と面会回数に相関はほとんどないというのが私や相棒の経験からの結論だ。面会にくるかたは遠方でも頻繁にこられるし、来ない家族は町内に住んでいても顔を出さない。

ところで、年々感じているのは、特別養護老人ホームを頂点とする施設がどんどん増えているが、もちろんそのぶん介護スタッフの人数が必要になっているのに、介護職の賃金水準の低さに加えて、最近の景気回復での求人難のため、あきらかにスタッフのレベルが低下していることだ。

だったら、地方の土地の安いところにある集合住宅のほうがおそらく家賃も安いし、若いモチベーションの高い介護スタッフの充足もよくて、いろんな面でいいのではないかと思うのだ。

医療も介護も、都市部であろうと地方の過疎地であろうと、事業者の得る報酬はほとんど変わらない(医療の報酬はまったく同じだ)。事業者も地方で経営したほうがぜったい経営は楽なはずだと思うのだ。

しかし…そんなに簡単なことではないのかねえ。