被災の恐怖2009/08/27 23:54

 仕事で患家に伺っているとき、ふと怖くなることがある。

 いまここで阪神淡路クラスの地震が起きたら、おそらく助からないだろうな、とか。もちろん患家はそこで暮らしておられるわけで、もっと心配かもしれない。しかし、じつはそういう心配はされていないのではないかとも思うのである。

 終の棲家にするつもりの白浜の家を建てるとき、南海・東南海地震の危険性にはかなり気配りして、木造ながら耐震性能を重視し、母屋が破損して危険になっても半地下の鉄筋構造のガレージはシェルターになるように、そして必発の津波に対しては、海辺に近いだけに12メートルほどの高台であることなどを確認した。

 先の集中豪雨で大きな被害が出た佐用町の映像をみると人ごとではない。うちの診療圏には洪水危険な地域がたくさんありそうだし、山を切り開いた住宅地には土砂災害の恐れのあるところも多い。しかし、みなさんはどれくらい認識しておられるのだろうか。

 在宅医療や介護の講演をしているときなど、オウディエンスが「ほとんど人ごと」のような感覚で訊いてられることが多く、だから最近はそういう講演はほとんどお断りしているわけである。被災の危険性についても「まさか自分のところが…」という思いのかたが少なくないのではなかろうか。そうでなければ、どう考えてももとは河川敷のところに床の低い家を建てたり、地形的に沢筋だったところにむりやりに水脈をせき止めるような建物を建てる気にならないだろう。

 巻き込まれるのは、ぜったいイヤだなあ。