BPPV(良性発作性頭位性めまい)2010/09/06 23:45

 ブログやツイッターでもほとんど書かなかったが、じつは8月はじめごろからBPPV(良性発作性頭位性めまい)と思われる症状に悩まされていた。横になったときや逆に起き上がったときなどに数秒間の回転性めまいまたは体が落ち込むような感覚がおきていたのだ。これはBPPVの症状に一致する。

「良性発作性頭位めまい症診療ガイドライン(医師用)」日本めまい平衡医学会診断基準化委員会編
http://memai.jp/bppv.pdf

 ガイドラインにもあるように原因が三半規管内の結石ではないかと言われているのだが、でもその結石の活動がなぜ突然起きるのかは分かっていない。つまり原因不明ということになる。脳外科の診療をしていたころには、受診されるかたが少なくなく、それほど珍しい病気ではない。

 私は以上のような知識を持っていたので、脳梗塞ではないかとか脳腫瘍ではないかとかよけいな心配はしなかったが、それでも不愉快な日にちだったことに変わりはない。

 そして、およそ一ヶ月かかってようやく自然緩解したようなのだ。いまはもうほとんど気にならなくなった。やれやれ。

 で、これからが本題なのだが、私には発症前とくに精神的ストレスを感じることもなかったので、ひょっとして今年のこの暑さのせいかとも思った。私はもともと暑さに弱い(けどとくに仕事中はだいじょうぶと根性入れてるわけだが)。夏に食欲が低下するのは何年も前からである(酒欲はあまり変わらない‐笑)。

 BPPVになってから数日たってふと気づいた。8月4日に毎年やっている健康診断を受け、ついでに同日午後に以前から気になっていた腰痛の原因を見ておこうと思って腰椎のMRIを撮影したのだ。その夜からめまいを感じるようになっている。

 MRIは放射線被ばくがないからというので、みなさん安心して受けられるようだが、私はずっと以前から強い磁場で原子レベルの構成物に負荷をかけるこのMRIという方法、ほんとにだいじょうぶかと懸念してきた。だからあまり積極的に患者さんにMRIけんさをオーダーしなかったし、脳ドックで定期的にMRIを行うことに疑義を呈してきた。

 偶然かもしれない。できる範囲で文献検索をしたり専門家に疑問をぶつけてみたが、MRIでBPPVを発症したという例は見いだせなかった。

 しかし、自分が一患者という立場で考えれば「MRIでめまいがおきた」と騒ぎたくなるような偶然だ(医療叩きの好きなマスコミ記者さん、いかが?)。

 今後も文献や症例報告がないか気をつけていくつもりだが、診療では少なくともベネフィットとリスクの比を考慮しつつ慎重にやっていくことにしようと思っている。