やはり独居の重度要介護者の在宅は難しい2006/07/27 17:04

 私のところでは「主に介護にあたるご家族」がおられない在宅医療は成功することが少ないという経験から、とくに独居生活しておられる患者さんはお引き受けしないことを原則にしています。在宅医療を要するほどの患者さんは、それなりに介護度が高かったり、医学的に微妙な状態であることが多く、ご家族にリアルタイムの判断をしていただかなくてはならない場面がしばしばあるからです。しかも、介護保険制度では、そのような患者さんの在宅介護をじゅうぶんカバーできないのは自明です。

 ところが、最近はそういう「事情むはお構いなしに病院や施設から在宅に戻ってこられるケースが増えていまして、医療者としてはとりあえず対応しなければならないという難儀な状況になっています。そして実際にそういう患者さんの割合が増えました。

 しかし、案の定、そういうケースでは数ヶ月でいろいろな状態の破綻がおきてしまっていまして、介護保険施設や有料老人ホームなどに移っていただかなくてはならなくなっています。自分の経験がまさに実証され続けているわけで、今後は診療所のホームページにもっと「独居の在宅医療は無理です」と明記すべきかなと思ったりしています。さらにそういうことをケアマネージャーはなかなか理解してくれていないのもつらいところ。機会があれば声を大にして伝えたいところです。