なんで危険側に倒せないか ― 2016/08/31 22:44
岩手県でじつに悲惨な犠牲が出てしまっている。平屋の認知症グループホームの入所者さんが全員亡くなっていて、敷地のなかに強固な3階建ての介護老人保健施設があり、そこでは上階に避難した入所者さんの犠牲はない。
当該自治体では川の水位が防災計画の避難勧告に達していなかったので広報しなかったという。そういう勧告がなかったから施設側は大丈夫だと判断していたのだろう。
しかし、記録上はじめて強い台風が直接上陸するという異常な事態。「大事をとる」発想がなぜ自治体にも施設にもなかったのか。正常性バイアスということがあるかもしれないが、個人についてはしょせん自己責任であっても、自治体や介護施設にはそれはありえないはずだ。
今回の悲劇のあった地区は、2011年の台風12号で甚大な被害が出た和歌山県那智勝浦町の市野々や井関地区と似た条件だし、災害後の状況はそっくりだ。
以前も書いたことがあるが、これだけさまざまな「災害モデル」のデータがあるこの国で、なんで同じような悲劇が繰り返されるのだろうか。
情けない。