病診連携2006/02/06 17:30

 病院と診療所が地域医療のなかで有効に連携して患者さんの利益になるような医療を行うことを目的に「病診連携」ということが提唱されています。病院では「地域医療連携室」などのセクションが作られ、ケースワーカーが常駐して病院と病院・診療所との橋渡しをします。医療保険下では「儲けにならないセクション」なので、以前にはなかなかそういう発想をしてくれる病院はなかつたのですが、医療政策の関係で早期退院をさせなければならないという情勢変化でつぎつぎと急性期病院に連携室が作られています。

 しかし、形だけ作っても私たちには実際には状況はあまり変わらないこともあります。つまり、こういう部署は、病院の都合で作られているので、建前上はわれわれ診療所の便宜を図るように高らかに詠っておられるものの、病院内では医師とコ・メディカルの力関係の大きな差のために、事実上診療所や患者、地域の意向が尊重されることが少ないのです。

 口の悪い私は「地域医療連携室」のかなりのところは「退院対策室」だとひそかに言っているわけですが、たとえば私のほうから紹介して入院治療をしていただいていた患者さんが、不幸にも亡くなられたような場合、死亡退院では退院対策は必要ないので地域医療連携室のケースワーカーには情報が上がらず、したがってかかりつけ医は患者さんの逝去すら知らない、あるいはご家族からのご連絡で初めて知るというような情けない事態がおこるわけです。

 地域とのつながりは、診療所では想像以上に強いものがあり、病院関係者が患者さんの死で感じることとは別のたいへん大きな影響があるのが現実です。亡くなられたことを知らせてもらえなかったために、お通夜や告別式で元患者さんと最後のお別れができなかった悔しさは、地域医療の最先端で仕事をしている医療者「しか」分からないのでしょうか。

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