遣り水2007/08/09 22:41

診療所から見える景色は熱帯である
 ここのところ北摂では雨らしい雨が降っていないうえに、日中はほぼ熱帯の空。診療所のベランダの鉢植え、プランターの植物たちは、一日一回の遣り水が必須、ときには朝晩に遣らなくてはならないほどです。地植えならそこまで気を遣わなくてもいいのだろうなあと思っていましたが、今夕の恬のお散歩では人知より天候だと思う風景を見ました。

 私の自宅マンションのあたりは、もともとは大きなお屋敷街で、それが相続などで様変わりして私の家のようなマンションになったり、分筆して8軒くらいの建て売り住宅になったりしています。それでもさすがまだまだ数多くのお屋敷が残っています。

 少々の日照りがあっても、こういうお屋敷の広大なお庭の植物は、歴史のある土地からの水分補給で(笑)、しおれたりすることもなく元気だと感心していたのですが、今夕は恬のお散歩の間に何軒ものお宅で遣り水をしておられる景色を見たのでした。ベランダの散水と違って、広いお庭に水を撒くのはそれだけで一仕事のようで、昔ならお庭番のようなおじさんがいたのかもしれませんが、さすがにいまはそこまでもなさそうでありました。

 道路はアスファルトで撒水してもほとんど意味がなさそうで、遣り水という風情も減っている昨今、人ごとなので気楽に言えますが、お庭の遣り水はけっこう夏を感じさせる風情であります。

秋刀魚(さんま)2007/08/10 15:36

 名前のとおり秋の魚ではありますが、ぼつぼつと美味そうな秋刀魚が店頭で見かけるようになっています。

 もともと魚好きの私、秋刀魚はそのなかでも好きなもののひとつです。最近しばしば南紀方面に行くようになって食べる機会が増えた秋刀魚寿司はなかなかのもんです。

 半年ほどまえにパートナーが画期的な圧力鍋(「活力鍋」)
http://www.asahikei.co.jp/を手に入れてから、この鍋でいままでにない食感の魚の煮込み料理ができるようになりまして、それが最近の楽しみです。この鍋、なにしろ短時間のうちに骨まで軟らかくなって、しかし身の部分は崩れずにしっかりとしたままになっているという優れものであります。「高い鍋やなあ」と思っていましたが、いまではわが家の料理には欠かせないものになっています。

 しかしながら、まあいろいろあっても、やっぱり秋刀魚は焼いたのが基本かつ最高やなあとは思うのではあります。

日除帽2007/08/11 16:58

 大阪のおばちゃんはそれなりにブランドと言ってもいいと思いますが(よくないか…)、そういう状況のなかでおそらく関西特有と考えられるものに「さすべえ」
http://www.rakuten.co.jp/sasube/というものがあります。実用的ではありましょうが、ひどく目立つしあまりカッコええもんではないと思います。しかし大阪近辺ではものすごく普及しています。

 いまごろの季節になりますと、いつのころからか、サンバイザーのツバの部分が色付き透明になっていて、それが可動式、そして顔をすっぽり覆うようにセットできるヤツが大繁殖しています。ダースベイダーのヘルメットのない状態を想像してください。つまり、なんと、自転車に乗ったおばちゃんがダース・ベイダーなのである。

 ネットで調べてみましたら、あれには固有の名称がないようで「サンバイザー」で検索したらいろいろな種類のものがヒットしました。近くで見たことはないのですが、なんとなく安っぽく見えるものなので、まさかちゃんとUVカットになっているとは知りませんでした。安モンだと思いこんだのは、私が少年のころに野球帽のツバにペラペラのセルロイドのサングラスもどきのものがついたのがあって、粋がってこのギミックを被っていた記憶があるからかもしれません。

 それにしても、車を運転していて、狭い道で向こうからダースおばちゃんが走ってきましたら、視線や顔の表情がまったく分からないので、それでなくとも行動予測の難しい人たち、すれ違い終わるまで非常に緊張するのは私だけでしょうか。

鬼太郎2007/08/12 22:44

 今夜の「Nスペ」、水木しげる氏の「総員玉砕せよ!」を題材とした創作ドラマ。

 水木氏は妖怪漫画で知られていますが、氏の戦記もの漫画も画がコミカルなのでつい本質を忘れそうになりますが、一種の反戦漫画としてきわめてシリアスかつシニカルなものだと思っています。その集大成のような原作からのドラマ、映像的にはいまいちという印象でしたが、敗戦記念日ちかくにふさわしい内容であったと、私は評価しました。

 いわゆる「戦争を知らない子どもたち」の草分けである私たちの世代、きつい反戦思想を植え付けられた世代でもありますが、やはりいまだに「人を殺すな」という基本から外れることができない私としては、この時期は毎年半世紀以上前のできごとを記憶しておくためにいろいろな情報は得ておきたいと思うのでありました。

盆休み2007/08/13 16:47

 先週末あたりから盆休みということで、帰省や行楽の道路渋滞とか、空港や駅の混雑など、いつもいつも同じようなニュースが目立ってきていますが、非常に基本的な疑問として盆休みをとっている人ってそんなにいらっしゃるのでしょうか。

 じつは私の周囲には、同業の開業医は別として、誰も盆休みだという人がいません。家族はもちろんみんな仕事ですし、娘などかえって忙しくてたいへんだと(医)ってります。私やパートナーはいつものとおり淡々と仕事です。

 帰省したり行楽に行ったりということになると、それを受け入れるためのお仕事はとっても忙しいわけですし、市役所などの公的機関はいつもより業務が増えるようなことも聞き及びます。盆休みで平日に休んだ人たちが役所にくるからだとも言います。

 私の実家は建築関係の仕事でしたので、物心ついたころからお盆は職人さんたちを藪入りさせるという伝統がありましたので、そういう業界に関してはなんとなく理解できます。しかし、社会環境が大きく変わったいま、年末年始はともかく、全国一斉に盆休みという習慣はやめてもいいのではないでしょうか。なかでも、開業医が一斉にお休みになるのはほんとに理解できません。不思議だ。

無花果(いちじく)2007/08/14 14:39

 あまり知られていないかもしれませんが、私の診療所のある兵庫県川西市は、愛知県の三河地方などと並んで無花果の大きな産地です。私の診療先にも無花果農家がありまして、この時期になりますと、採れたての無花果、それも最高級のやつをたくさんいただきます。

http://www.city.kawanishi.hyogo.jp/event/tokusan/ichijiku/ichijiku.htm

 今年も先日の訪問診療のおりにくださいました。ところが残念ながら私は果物全般をあまり好まず、つまり無花果もほとんど食べません。幸い、メロンと違ってパートナーと娘は大好きなので、ご好意にはじゅうぶん答えられるわけですが、なんと贅沢なと毎年こころ苦しく思っておる、あ~、次第で、その~、あります。

 話は無花果からちょっと離れますが、わが家ではもったいないことにメロンはみんなダメです。なんで? と言われても、だめなんですね。贈り物としていただくこともありますが、傷まないうちにお好きなかたにお譲りしてしまうのが常。だから私のところにはメロンは持ってこないでくださいね(笑)。

 食べるのは苦手ではありますが、私が生まれた家の裏手には無花果の木が何本もあって、物心ついたころからなじんでいました。無花果の木は幼児が木登りして遊ぶのにもちょうどよい樹形でありました。もっとも、熟していない実を掴んでしまってネッチョリした樹液が手についてイヤな思いをしたことが、いまだに食べない原因のひとつかもしれません。

 そういえば両親はこれが好きだったので、何個かお盆の仏壇のお供えにしなければならないと気づきました。

記念日2007/08/15 16:09

 今日は「終戦記念日」だという。明治維新以後、外国との戦争は何回かあったので、終戦記念日はその数だけあるはずだ。ご多聞に漏れず学校で現代史をきちんと教わっていないので、日清・日露や第一次大戦の終戦の日は調べないと覚えていない。でも終戦の日はあるはずなのに、なぜ今日だけみんなで終戦記念日だと言いつのるのだろう。

 一部の人たちは終戦記念日ではなく「敗戦記念日」と言っている。8月15日を表すにはこちらのほうが正確な表現だとは思うが、なんとなく自虐史観の続きのような響きもあって、個人的にはちょっと違和感も感じる。

 それはともかく(「ともかく」でつなぐような軽いことではないのは承知のうえ)、これほどニュースで取り上げられ、いろいろな行事が行われる8 月15日、なぜ祝日にしないのか。悲惨な戦争を無条件降伏という屈辱的な状態で終えねばならなかったこの国の歴史的事実を受け止め、世界の平和を祈念し、今日のわが国の繁栄を祝う日(私らしくない表現が並びましたなあ・笑)として祝日とする。なんら不自然ではないと思う。

 われら団塊の世代は「戦争を知らない子どもたち」と揶揄された時期があった。しかし、私らの世代はまだ戦争の跡を実感していて、良くも悪くも直接の伝聞として太平洋戦争を聞いている。その世代さえまもなく現役から引いていくことになるわけである。

 海の日とかみどりの日とかのワケ分からん祝日を量産するくらいなら、終戦記念日を祝日にするほうが意味のあることではないか。日本が負けた日など覚えていたくもないわということなのか、それともどうせお盆でみんな休んでるんだからわざわざ祝日にしなくてもなどということなのか。

鼠取り2007/08/16 17:30

 訪問診療で走り回っていますと、幹線道路や生活道路でしばしば鼠取り(レーダー速度取り締まり)に遭遇します。まあだいたい場所は決まっていますからいままでに引っかかったことはありません。そもそも往診車ではほぼ制限速度運転を励行していますから(後続車のみなさま、ごめんなさい)、まず速度超過はすることがありません。しかし、生活道路などでは制限30キロという極悪なところもありますし、あるいはゆるいカーブのきつい下り坂で40キロという道路があって、えてしてそういうところで取り締まりがされていますから油断なりません。

 ところが、先月あたり、つまり暑さが本格的になってきたころから、とんと取り締まりに会うことがなくなっています。神戸新聞阪神版の「交通取り締まり」予告欄ではよく走る県道などもリストアップされているのですが見かけないのです。

 そりゃあ、気温40度にもなろうかという道路端で数時間の取り締まりは過酷すぎるよなあと思う反面、もしそういうわけで減らしているのなら問題だと思ったりするのです。

 とはいえ、最後に鼠取りにかかってからすでに20年はたっていると思われるいま、やはり油断できぬと思うのであります。